Jan 10, 2011

たかが玉縁、されど玉縁

こんばんは。

先日バッグを造る工程で、漉き機の話をしましたが、その漉き機を生かした玉縁(たまぶち)というパーツの説明をします。

玉縁はバッグの縁に縫い込まれている下の写真のパイプ状のパーツです。

このパーツに強度的な役目は殆どなく、飾りと考えていただいて良いのですが、縁取りをするのでメリハリがつき、しっかりとした形が出せます。
色を変えればデザイン面でもアクセントになりますね。

玉縁を入れるとかっちりとした雰囲気になり、入れないとよりソフトな印象に仕上がります。

デザインによって使い分けます。


街中で、布製の学生鞄の角から白いワイヤー状のパーツが飛び出しているのをたまに見かけませんか?

通常はプラ芯、その他にも紙芯やビニール芯などの細いパイプ状の芯に、薄い帯状の革や布を巻きつけて、バッグを組み立てる際に挟み込むのですが、上記のようにバッグの縁は一番こすれる箇所なので、擦れると中の芯が飛び出てしまいます。

折角気に入ったバッグを買っても、そうなってしまっては雰囲気が台無しです。

そこで普段僕が行っている方法を説明したいと思います。



まず、2cm幅の帯状の革を裁断します。



前述の漉き機で両端を薄く漉きます。
写真の様に真ん中だけ厚みが残っています。


 

薄くした部分にボンドをつけ、半分に折り貼り合わせます。
パーツの下のラインが芯を入れたように膨らんでいるのが
分かりますか?

これを挟み込んで縫うと一枚目の写真の様になります。
この方法だと、擦れても中が革なのでさほど違和感がありません。


この方法は何も僕だけが使用しているテクニックではなくいくつかある方法の一つなので、プラ芯などを入れるのが悪くて革だけで造るのが良いという話ではありません。

量産の製品は、当然合理的な方法を選択しなければなりませんし、実際芯材は便利な材料です。

ただ僕は革を専門にバッグを製作しているので、突然ケミカルな素材が飛び出すのは好みではないですし、永く使用していただく上でこの一手間が有効であることは事実なのです。

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